
あれは、学生の頃でした。愛読誌のニューサイクリングに「巴里自転車大通り」というタイトルでイラスト風に書かれた記事が掲載されたのは。自転車屋さんが立ち並んでいると言う巴里の大通りとは、一体どんな所なのだろう。一目見てみたい。そう思いながらその記事を食い入るようにして読みました。(右の図は、NEW CYCLING '79.3 vol.172号より転載させていただきました。
その後、1981年にパリを訪れることが出来ました。残念ながら、出発前にこの本が見つからず、ただ、「パリの自転車大通りは凱旋門をはさんでシャンゼリゼの反対側にある」というかすかな記憶を頼りに訪問することになったのは、今にして思えば本当に残念なことでした。エルスやサンジェを訪問できたのに。
もっとも、日程の関係で行ったのは日曜日で、ほとんどの店が閉まっていたのは、愛敬でしょうか。
1995年、2ヶ月間ロンドンで研修することになり、土日を利用してパリに向かうことにしました。15年間前に行けなかった、サンジェやエルスは勿論、閉まっていて入れなかった店も覗いてみようという気持ちを胸にユーロスターに乗り込みました。
宿の予約を終えて、大急ぎで自転車大通りに行ってみると、なんだか以前と様子が違うのです。自転車屋さんが見当たりません。本当にがっかりしました。それでも、ボアシスのおばさんと話したり(勿論、フランス語はまったくだめなので、ボディーランゲージで)、サンジェを訪問したりとそれなりの収穫はありました。
ここでは、昔と今の写真を並べて、その様子をお知らせしたいと思います。

| 地図 番号 | 店の名前 (地番) | 1981 | 1995 | コメント |
|---|---|---|---|---|
| 1 | ボアシス (13.) |
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81年には閉まっていたボアシスに今度は入れました。 住所がチェーンリングの中に表示されているので一目で自転車屋さんと分かります。 おみやげにソローニュのバッグを買おうと思って聞いたらサンジェへ行きなさいと 住所と電話を教えてくれました。(注1) |
| 2 | ル・ジュン (10.) |
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とてもきれいなレーサーが展示されていたル・ジュン。95年に行ったときは見つけることが出来ませんでした。 | |
| 3 | オスカー・エッグ (29.) |
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オスカー・エッグとはかつての名選手の名前。その名を付けた自転車を作っていました。 95年の訪問では見つけることが出来ませんでした。 | |
| 4 | ウォルバー (39.) |
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ウォルバーは、タイヤメーカー。その自転車屋さん? 頼りのニューサイクリングにもコメントがなく詳細は分かりません。 少なくとも、95年の訪問では見つけることが出来ませんでした。 | |
| 5 | RALLYE AUTO SPORT (30.) |
ニューサイクリングによると、小さな手作りの自転車工房があるそうです。81年の訪問時に、気がつかないわけは無いので、既に自転車を展示していなかったのかもしれません。そういえば、95年のときもマークは見掛けたような気がします。オートバイ専門店のようだった気がかすかにします。 | ||
| 5' | CYCLES RALEIGH /'81 MONDE CYCLES /'95 (34.) |
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81年の訪問時に、パリのど真ん中で、イギリス自転車を売るなんて、すごい根性という事を思ったことがあります。 看板には、BROOKSなどのお馴染みイギリス部品の名前が連なっていました。 95年の訪問時には、モンデ・サイクルズという名前に代わり、看板の下に小さくラーレーの文字が見えます。覗いてみますと、ジャイアントのMTBが多数展示されていました。 |
| 6 | モトベカンヌ (49.) |
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プジョーと並ぶフランスのマスプロメーカーの一つ。日本にも輸入されています。 モトベカンヌの看板を掲げたお店はパリのあちこちで見掛けることが出来ます。 自転車大通りのモトベカンヌは、95年の訪問では見つけることが出来ませんでした。 | |
| 7 | ジタン (40.) |
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かなり大きな店で、英語も使えたので、色々と買い物をした記憶があります。銀色のビニール袋に商品を入れてくれました。 しかし、95年の訪問では見つけることが出来ませんでした。 | |
| 8 | メルシェ (59.) |
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フランスのレーサーといえば、プジョーとメルシェとジタン。そんな、イメージを当時持っていました。そのうちの一つのメルシェ。 カラーリングがとてもフランス的だった印象を持っています この店は、ドアの取っ手がカンパのクランクセットで出来ていることが良く知られていました。 95年の訪問では見つけることが出来ませんでした。 | |
| 9 | プジョー (72.) |
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フランスの代表的な会社である、プジョーの自転車。日本にも多数輸入されています。 広い店内にお置くの自転車やパーツが展示されていました。 95年の訪問時には、ELITE製の子供のボトルを買ってきました。この時も、なかなか賑わいのある自転車屋さんでした。 |
| A | ル・シクル (61.) |
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フランスの雑誌社のオフィシャルドシクル。看板にマークが付いていました。95年の訪問時には、この看板を見つけることが出来ませんでした。 | |
| B | T.C.F (65.) |
T.C.F.は、ツーリングクラブ・ド・フランスの略。 今、ニューサイクリングを読み直してみると、ビシークラブというレンタサイクルを専門とする団体が入っているそうです。 2回の訪問とも、気がつきませんでした。 |
マダムボアシスにお願いして写真を取らせてもらいました。
サンジェの住所と電話番号を書いてくれた、マダム・ボアシスのメモです。とっても親切な方で、笑顔を絶やさない人でした。私がフランス語を少し知っていれば、もっと楽しい会話が出来たと思うと、本当に残念でした。
マダム・ボアシスのアドバイスのもと、何とかたどり着くことが出来た Alex Singer。なにせ、ビクトル・ユーゴなんていう名前は、そこら中にあります。
早速中に入ると、かのスツーカ氏。しかし、私はフランス語がだめで、どうも通じない
写真撮影の許可を貰って、店内の様子を撮影しました。10数台の自転車が完成されて置かれていますが、この内のほとんどが日本へ輸出されるのでしょう。きっと。
それはともかく、サンジェでは、おみやげのソローニュのバッグを買おうとしたら、クレジットカードが使えないので困っていると、斜め前に銀行があると教えてくれました。生まれて始めてキャッシングしました。先のレジに入力する前に、メモを書いてくれました。このメモによりいくらか分かりますね。日本で買うのとあまり変らない気がします